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「巌とひで子 ~袴田事件 58年後の無罪~」から。袴田巌さん(左)と姉の秀子さん=NHK提供

■記者レビュー

 捏造(ねつぞう)による死刑求刑で人生を奪われる。想像を絶し、言葉も出ない。それでも諦めず、生きることで希望をつないだ。

 58年前に静岡で起きた一家4人殺害事件を巡り、半世紀以上を「殺人犯」として生きた袴田巌さん(88)。再審公判で9月26日、無罪判決が下された。姉の秀子さんは弟の無実を信じ、重い司法の扉をたたき続けた。Eテレで5日に放送したETV特集「巌とひで子 ~袴田事件 58年後の無罪~」はそんな10年の記録だ。

 まず、秀子さんの人としての強さに圧倒された。今年、91歳である。

 2人の母は、死刑判決に衝撃…

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